ブログ名を商標登録するための基礎知識 ~その1~
企業や個人がブログで情報発信をすることはもはや当たり前となりました。
かくいう私もMarkstone知的財産事務所の設立と同時にウェブサイトを立ち上げ、ブログでの情報発信を始めています。
ところで、特に個人が運営するブログの名称(ブログ名)を商標登録する意味はあるのでしょうか?
今回から複数回にわたって、商標登録をする意味を含め、その基礎知識をお伝えしようと思います。
各連載回へのリンク
第1回:ブログの目的
第2回:商標権によるブログ名の保護
第3回:商標権の範囲
第4回:商標出願に必要な情報
第5回:ブログ名を商標権で保護するポイント①
第6回:ブログ名を商標権で保護するポイント②
ブログの目的
ブログ名の商標登録を考える上で、まずブログの目的を整理したいと思います。
ブログは主に情報を発信するメディアとしての側面がありますが、その目的には、自分(自社)のためと、他人(他社)のための二つの目的があると思います。
自分(自社)のための情報発信
主に企業のブログは、自社や自社製品を紹介する場としてブログが活用されています。
企業は自社の情報を知ってもらう手段としては、ウェブサイトがありますが、新製品などの最新情報をタイムリーにPRするにはブログが向いています。
こういった企業のブログはその目的は、あくまでも自社や自社の製品を知ってもらうことであり、自社の宣伝のための自社のブログです。
個人や個人事業主のブログでも、自分の経験や知識を発信して、個人をPRすることはこのような自分の情報発信を目的としたものといえます。
他人(他社)のための情報発信
一方で、主に、個人のブログにおいては、ブログを運営する目的が単なる自分の情報発信にとどまらず、他人が役立つ情報を提供したり、広告収入(アフィリエイト、AdSense)を併せて狙っていることが多くなっています。
このようなブログは自分のための情報発信に加えて、他人の生活や生産性の向上を目的としていたり、企業の製品やサービスを知ってもらうこと(広告リンクをクリックしてもらうこと、買ってもらること)を目的としており、他人(他社)のための情報発信という側面も併せ持っています。
なお、一つのブログにおいて、その目的が”自分のための情報発信”または”他人のための情報発信”のどちらか一つになるというものではなく、混在することがほとんどだと思います(企業のブログにおいても他社の製品などの広告が掲載されることもあります)。
ブログが経済的な価値を持つ
そして、皆さんご存知のとおり、”他人(他社)のための情報発信”をするブログの中には広告収入だけで生活できるほど稼ぐブログも存在しており、個人のブログであっても、実体としては”個人事業”として運営されているものもあります。
つまりは、個人のブログそれ自体で儲けることができる(お金が絡む=経済的な価値を持っている)ということです。
そして、お金が絡むということは、同じようなことをする人がたくさん出て来るということです。
通常のビジネスの世界でも、例えば、ある会社が「ペットボトル入りコーヒー」を販売してヒットしたら、雨後の筍のごとく競合各社が同種の製品を出してきました。
ビジネスの世界では、同じような製品やサービスを提供することは常套手段で悪いことではありません。
それによって、市場での競争が促され、消費者は適正な価格や品質の高い製品やサービスを手にすることができるようになります。
ただし、その競争が健全な競争でない場合があります。
例えば、先行して販売されている製品のパッケージをパクって消費者が間違って買ってしまうような製品を販売してしまうような行為です。
企業の活動であれば、通常は、事前に商標登録をして(つまりブランドに関する権利である商標権を取得して)、そのようなパクリ製品を市場から排除できるように準備をしています。
ブログが経済的な価値を持つのであれば、通常のビジネスと同じようにパクリを排除するニーズはあると思いますし、それが商標登録することで実現できるのであれば、ブログに関する商標登録は十分に意味のあることになります。
次回以降で、個人のブログの保護について検討してみたいと思います。
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