ブログ名を商標登録するための基礎知識 ~その5~

前回から、商標出願に必要な情報をご説明しています。

今回は、商標出願に必要な情報の一つ、「商標を使用する商品・サービス」をブログに特化して検討したいと思います。

今回の内容がブログ名を商標登録するための肝と言っても過言ではありません。ちょっと長いですが、お付き合いください。

ブログの商品・サービス

まず、ブログには次の二つの側面があります。

  • 情報発信をするメディアとして、一般消費者に対する情報提供サービスの側面
  • 広告メディアとして、広告主に対する広告掲載サービスの側面
情報発信メディアと広告メディア
ブログの側面(役割)

ブログ名を保護しようと思ったらこの二つをカバーするサービスを出願書類に記載したほうが良いでしょう。

まずは、この二つのうち、一般消費者に対する情報提供サービスの側面をカバーするサービスについて検討します。

「情報提供」だけでは認められない

情報提供サービスなのだから、商標を使用する商品・サービスを「情報提供」とすれば解決する、と思われるかもしれませんが、これはNGです。

なぜかというと、商標出願を審査する特許庁は、審査にあたって、記載された指定商品や指定役務を、45個ある区分(分類)のどれかに該当させなければならず、「情報提供」ではどの区分に該当するかわからないからです。

例えば、美容関連の情報提供を例にとると、「美容商品の販売に関する情報の提供」や「消費者のための商品及び役務の選択における助言と情報の提供」は第35類に該当し、「美容に関する情報の提供」は第44類に該当します。

一般に、第35類には商品販売に関するサービス(小売やコンサルティング)が含まれ、第44類には医療や美容に関するサービスが含まれており、一口に美容関連といっても、複数の区分にわたります。

ただ、第35類の「美容商品の販売に関する情報の提供」は、”商業等に従事する企業に対して、その管理・運営を援助する情報を提供するサービス”と考えられているので、ブログはこれには当たらないでしょう。

そうすると、「消費者のための商品及び役務の選択における助言と情報の提供」(第35類)や「美容に関する情報の提供」(第44類)が、美容関連の情報提供をするブログをカバーするサービスの記載になってくるのかなと思います。

【ご注意】
上記の美容関連についての例はあくまでも仮想事例における私の見解であって、美容関連情報を取り扱うブログの具体的な指定商品役務の範囲について、内容を保証したり、推奨するものではありません。

区分が増す→コストが増す

なお、美容から派生して健康やスポーツ分野を取り扱うようになった場合、「自宅でできるストレッチ方法」のような内容は、上記の第35類や第44類のサービスではカバーされない可能性が高いと思います。

また、ブログで提供される情報の内容次第で、その分類が異なってくるため、取り扱う情報の種類が多くなるにつれて、商標出願上のサービスの区分(分類)も増えていきます。

そして、区分が多くなるということは、費用も増えることを意味します(特許庁に支払う印紙代は「3,400円+(8,600円 × 区分数)」の式で求めることができます。)。

加えて、ブログの取り扱い情報の種類が変わった場合、ブログ名を保護しようと思ったら、改めて商標出願しないといけません。

最悪なケースでは、改めて商標出願しようとしている区分で、先に他の人が商標権を得てしまっている可能性もあります(※商標権は区分単位での独占権ではありませんが、あくまでも簡略化して説明しています。)。

一つの仮説?

このようなブログの区分に関する問題の解決方法を模索する中で、私は、ブログを「電子出版物の提供」に似たサービスとしてとらえることができないか?と思っています。

例えば、2004年に創刊され一世を風靡したフリーペーパー「R25」。この商標登録のときに、特許庁は興味深い判断をしています。

「・・・当該雑誌は,政治情報,ビジネス情報,スポーツ情報,芸能情報,商品販売情報,TV番組情報などのありとあらゆる情報の掲載に加え,著名人のインタビュー,著名作家による連載小説やエッセイ,漫画等々と広告記事から構成され,全体として,毎号50頁程度に編纂されており,掲載されている内容は,市販されている雑誌とおおむね同様といえるものである。」(審判番号:不服2005-14225、審決日:2006年11月13日)

無料で配布されるフリーペーパーを商品「雑誌」と認めています。

そうすると、無料で読めるブログは、“電子出版物”(第9類)や“電子出版物の提供”(第41類)に該当しないか?と思ったのです。

たくさんの雑誌
ブログは電子出版物に該当するか

ブログは、ありとあらゆる情報の掲載をするので、考えようによってはフリーペーパーの電子版みたいなものだと言えます。

また、商品としての”雑誌”はその取り扱う情報に関わらず一つの区分(第16類)で認められるのに、ウェブ経由での情報になったとたんに、いろんな区分(分類)について商標出願しなければならなくなるのは不合理だと思うのです。

ただ、電子出版物と言ったら、書籍の電子版として流通するものだと思うので、ブログサイトを電子出版物というのは無理があるように思います。

そこで特許庁が採用を認めるサービスの記載を調べたところ、“電子出版物の提供”(第41類)と類似する範囲で「文字情報の提供」というサービスがありました。

「これならいけるんじゃないか?」と思うのです。ブログは突き詰めれば文字情報の提供サービスではないか、という発想です。

とは言ってみたものの、ブログサービスが「文字情報の提供」でカバーできるとする考え方は、あくまでも私の仮説としてのアイデアで、特許庁の実務や裁判などで裏付けられた指定商品・役務の特定方法ではありません。

今後、ブログの法的保護に関する事例が増えて、この種のサービス保護に関する議論が活発になっていけば、実務としても成熟していくと思います。

現状では、この「文字情報の提供」のほかに、該当するサービスの主たる区分についても出願しておくことを強くお勧めいたします。

特に、商品やサービスのレビュー記事については、「消費者のための商品及び役務の選択における助言と情報の提供」(第35類)という側面があることは否めないので、第35類は必須と思います。

特許庁に聞いてみたけど・・・

ちなみに、特許庁の「商標課 商標国際分類室」というところに、この点について聞いてみましたが、担当者は「ブログは、「ブログのためのサーバの記憶領域の貸与」というのが第42類にあるので、それですね。」とのこと。

違います!

それはサーバーレンタル会社(ロリポップ!やカゴヤ、エックスサーバー等)が提供するサービスです!

ブログについて説明してみましたが、「あなたの言っていることはよくわからないから、最終的にはご自身で判断して出願してください。」だと。

結局、ブログによるサービス提供という概念がまだまだ理解されていないようで、こういう新しい分野について特許庁だけの意見で進めてはいけません。

問題が発生した場合に最終的な判断を下すのは特許庁ではなく、裁判所です。

裁判所の判断がない現状においては、特許庁の見解だけに流されず、可能性の範囲も含めてなるべく広い範囲で出願しておいた方が無難でしょう。

今回はちょっと長くなってしまったので、次回、広告主に対する広告掲載サービスの側面をカバーするサービスについて検討して最終回にしたいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です