国際登録制度を利用した外国におけるネーミング独占の留意点(1)

海外ビジネスの成功のためには、製品やサービスのネーミングの独占権(商標権)が必須アイテムです。

なぜ必須アイテムなのか、ご興味ある方は、本ブログの「海外ビジネスを成功させようと思ったら商標権を取得すべし」をご覧ください。

さて、商標権は、基本的に、国ごとに発生し、その国においてのみ効力を有します。

外国でネーミングを独占したい場合には、その国で有効な商標権を取得しなければなりません。

外国での商標権の取得で便利な制度が、国際登録制度です。

その制度概要については、「外国での商標権の取得手続き~国際登録制度~」をご覧ください。

ここでは、今回から数回に分けて、国際登録制度を利用するにあたっての留意点をお伝えしたいと思います。

国際登録制度とは

おさらいになりますが、商標の国際登録制度とは、マドリッド協定議定書に基づく商標の国際登録のことを指します。

一般的には、英語表現で「マドリッドプロトコル」と呼ばれたり、その省略形の「マドプロ」と呼ばれたりします。

日本で登録されている自社の商標を、世界知的所有権機関(通称「WIPO」)という国際機関が管理する国際登録簿に登録をして、指定した加盟国での商標の保護を求めることができる制度です。

下の図のように、複数の外国への商標出願の手続を、日本国特許庁を通じた国際事務局(WIPO)への国際登録で一度に完了させることができるため、効率的に外国での商標権の取得ができる制度です。

2020年4月の時点で、マドリッド協定議定書には、106の国・地域が加盟しています。

アメリカや欧州共同体、中国など主要な国は加盟しています。

国際登録の手続きに着手する前の必須事項

国際登録の手続きを進める前提として、日本での商標出願又は商標登録が必要です。

国際登録は、自分の国で登録した商標の保護を外国にも及ぶようにする制度のため、日本人又は日本の企業は、まず、日本での商標出願又は商標登録が必要なのです。

このような、国際登録の基となる日本の商標出願を基礎出願、商標登録を基礎登録と言います。

基礎出願又は基礎登録の留意点

基礎出願又は基礎登録の内容が、外国で商標権を取得すべき内容と一致しない場合には、国際登録制度をいくら利用しても、意味のある商標権を得ることができません。

そのため、国際登録制度を利用する前には、基礎出願・基礎登録について、次の二つをチェックします。

ⅰ)外国で使うネーミング(商標)と同一かどうか

例えば、以下のような基礎出願・基礎登録は、外国で使用する商標と、基礎出願又は基礎登録の商標の態様が同一ではないので、国際登録の基礎としては利用しない方がよいでしょう。

国際登録制度では、基礎出願又は基礎登録と同一の商標を出願しなければなりません。

そのため、国際登録は、基礎出願や基礎登録の態様と異なる態様での出願は認められません。

上記の例では、カタカナの「マークストーン」は、諸外国では文字というよりも図形的な要素として認識されます。

そのため、英語「MARKSTONE」を外国で使う場合には、カタカナ「マークストーン」の商標権では、英語「MARKSTONE」を保護できません(①のケース)。

②の例は、日本の商標出願の実務においてよく用いられる手法で、英語とカタカナ(読み方)を二段に表示した商標です。

英語「MARKSTONE」は入っていますが、カタカナ「マークストーン」がくっついており、このような態様で外国で商標権を取得しても、外国で使用する英語「MARKSTONE」のみの商標と二段書きの「MARKSTONE/マークストーン」の商標は同一ではないと判断される可能性があります。

そのため、外国で使用する商標「MARKSTONE」を保護できているとは言えない状況になりかねません。

そのため、外国で英語「MARKSTONE」を使うのであれば、基礎出願・基礎登録も「MARKSTONE」にするべきなのです。

ⅱ)そのネーミング(商標)を使う商品・サービスがカバーされているか

次に、商標権を取得する際には商標の態様のほかに、その商標を使用する商品やサービスを特定して指定しなければなりません。

この商品やサービスの指定は極めて重要です。

というのも、商標権はここで指定した商品・サービスの範囲内で権利を主張できるものだからです。

そのため、基礎出願・基礎登録で指定されている商品やサービスに、外国でその商標を使用する商品やサービスが入っているか確認する必要があります。

日本の事業内容と海外の事業内容が異なることはよくあります。

単に基礎出願・基礎登録で海外事業の商品・サービスもカバーできると安易に考えずに、海外事業の内容、取り扱い商品・サービスの範囲を確認して、基礎出願や基礎登録の商品・サービスと比較する必要があります。

基礎として使えない場合はどうする?

上記のⅰ)とⅱ)の点について、基礎出願・基礎登録の内容をチェックして、外国で使用するネーミング(商標)と同一でない場合や、商品やサービスの範囲が異なる場合には、日本の商標出願からやり直すべきです。

そのままの日本の商標出願や商標登録と同じ範囲で国際登録の手続きを進めても、あまり意味のない権利を取得することになります。

さいごに

今回は、国際登録制度を利用する前提となる基礎出願・基礎登録についてお伝えしした。

何事も基礎が大切です。

基礎出願・基礎登録をしっかりと作ってから国際登録の手続に進みましょう。

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