商標の国際登録手続きで、英語の手紙・メールが届いたときの対応
商標の国際登録制度は、非常に便利です。
日本の特許庁に所定の書類を提出すれば、容易に外国での商標権の取得手続きが進められるからです。
日本の特許庁のウェブサイトにも制度をわかりやすく説明した資料が置いてあります。
ここで注意しないといけないのは、国際登録の願書を特許庁に提出後、そのまま各国で権利が発生することは、あまりないということです。
商標の国際登録制度を利用しても、指定した各国で商標権の発生を認めるかどうかは、その国の審査で決まります。
そのため、ひとたび指定した国の審査で、その国の法律にひっかかると、何らかの対応をしないといけないのです。
※国際登録制度については、本ブログの「国際登録制度を利用した外国におけるネーミング独占の留意点」(全4回)をご覧ください。
どこから連絡が届く?
国際登録制度を利用して商標を外国に出願した場合、その後のやり取りは、基本的に英語のメールや手紙で行われます。
概ね、次の機関・組織からメールや手紙が届きます。
- 国際事務局(WIPO)
- 指定国の特許庁
- 怪しい組織
国際事務局(WIPO)から届くもの
国際登録の手続きは、最初は日本国特許庁に書類を提出するとしても、その後は、国際事務局(WIPO)から出願人に連絡がきます。
連絡の内容には、国際登録にあたっての不備を指摘するものや国際登録証のほか、指定国での審査結果も届きます。
書面には国際事務局(WIPO)のロゴマークが入っていて、通知内容のほか、対応方法などが英語で案内されています。
概ね、以下のようなフォーマットで届きますので容易に見分けがつくと思います。
対応は、その内容によって大きく異なりますが、国際登録の前段階の場合は、日本国特許庁経由での対応をし、国際登録後の場合は、指定国の特許庁に現地の代理人(その国の弁護士・弁理士)に依頼して対応することになります。
指定国の特許庁から届くもの
指定国の特許庁から直接、出願人に書類が送られてくることは多くありません。
ただ、韓国など一部の国では、国際登録の後、韓国知的財産庁が発行した登録証が直接、出願人に郵送されてきます。
以下のロゴマークが付いているはずなので確認してください。
送られてくる書類が登録証であれば特に対応は必要ありません。
登録証っぽくないものの場合は、内容によっては対応しないといけませんので、弁理士にご相談いただいた方が良いと思います。
怪しい組織から届くもの
国際登録の権利者に送られてくる手紙は、すべてがちゃんとした組織から送られるとは限りません。
国際登録をした権利者に対して、独自の登録簿に情報を掲載することを謳って、費用を請求する手紙が送られてくることがあります。
特許庁でも注意喚起を行っています。
どうやって見分けるのか?
送られてきた手紙やメールがまともなものなのかは、送り主の名前やロゴマークをよく確認して判断するしかありません。
国際事務局なら、WIPOの文字やロゴマークがあります。
韓国特許庁ならKIPOの文字やロゴマークがあります。
内容は英語で書かれていますが、これらをGoogle翻訳などで日本語にすれば、ある程度の内容は理解できると思います。
また、通常、いきなり費用を請求されることはありませんので、費用が請求されている場合には、弁理士に相談するなどして対応したほうが良いかもしれません。
自分で国際登録の手続きを進めると、出願後の案件管理も自分で行う必要があります。
英語でのやり取りに自信がない場合には、最初から弁理士にご依頼いただいた方が良いこともあります。