「断捨離」に対する無効審判の結果

昨年、「断捨離」という言葉が商標登録されていて「使うのやめろと警告を受けた!」等と、にわかに話題になりました。

その際に掲載したブログ記事「「断捨離」使っちゃいけないの?」はこちらです。

今年に入ってからは、ほとぼりが冷めたかと思いますが、先月、「断捨離」に関して特許庁から、ある審決が出ました。

事件は、「断捨離」の商標登録を保有する山下英子氏が、他社が登録した「断捨離」の商標登録の無効を請求したものです(無効2018-890058)。

今回、その事件について特許庁が判断が出したのです。

その内容をご紹介します。

対象となった商標登録

山下英子氏が無効を主張した相手方の商標は次の商標です。

登録第5606900号

指定サービスには、輸送や廃棄物の再生などがあり、パッと見ると運送業や廃棄物処理業者が商標登録するような分野で権利を取得しています。

無効を主張した根拠

山下英子氏が、無効を主張した根拠は大まかに次の三つです。

  1. 他人がこの商標を使うと、山下英子氏が提供する「断捨離」に関する商品やサービスと間違ってしまう。
  2. この商標は、山下英子氏の「断捨離」の著名性を利用して、不正に利益を得たり、「断捨離」の信用にタダ乗りするもの。
  3. この商標の登録は、社会的に許されない!

つまりは、山下英子氏が提唱する「断捨離」と間違ってしまうということや、その著名性を勝手に使っているものだ、ということを主張したのです。

特許庁の判断(審決)

上記のような山下氏の主張に対して、特許庁は、山下氏の主張を認めず、商標権を維持する判断をしました。

特許庁の審決には以下のような言及がありました。

引用商標(註:山下氏の「断捨離」)は、請求人役務(註:山下氏のサービス)を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者 ・需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。

無効2018-890058審決

引用商標を構成する「断捨離」の文字は、沖正弘氏の提唱するヨガの行法であった「断」「捨」「離」に由来する語といえるものであり、請求人による造語とはいい難く、引用商標の独創性の程度が高いということはできない。

無効2018-890058審決

「断捨離」の語は、2010年にユーキャン新語・流行語大賞にノミネートされた後には、「不要なものを断ち、捨て、執着から離れることを目指す整理法。」程の意味合いを表すものとして、新語・流行語として社会に定着し、一般的に通用する語として使用されているともいえるものである。

無効2018-890058審決

このように、特許庁は、山下氏が権利を主張する「断捨離」の言葉について、山下氏のサービスを示す表示としての周知性を否定し、整理法を表す一般的に通用する語であると判断しました。

その上で、本件商標を輸送や廃棄物の再生などの分野で使っても、 山下英子氏が提供する商品やサービスと間違えることはないと判断しました(山下氏の主張の1点目)。

また、「断捨離」の言葉が山下氏のものとして周知ではないので、不正に利益を得たり、「断捨離」の信用にタダ乗りするものではなく(山下氏の主張の2点目)、さらに、そのような「断捨離」という言葉を商標登録しても、社会的相当性に反するものでもない(山下氏の主張の3点目)と判断しました。

まとめ

このように、山下英子氏が、他人が登録した商標「断捨離 だんしゃり」を無効にする試みは失敗に終わりました。

昨年の騒動でも言えることですが、商標権を取得しても、それを本来の商標の目的(=自分の商品やサービスを表す目印を守ること)を外れた形で他人の使用を制限したり、他人の権利に口出ししても、うまくいかないことがあります。

商標は、「誰の商品やサービスかを区別・識別するための目印」です。

商標権を取得するときはこの点を常に念頭に置いて考えないといけません。

  

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