Impact of Brexit(EU離脱)~移行期間に突入~

United Kingdom

※本ブログ記事は、2020年1月21日に公開した記事ですが、Brexitが実現したことを踏まえ、一部、加筆修正して、2020年2月4日に再度公開したものです。

これまで3回延期されてきたBrexit(イギリスのEU離脱)が、2020年1月31日に実現しました!

では、欧州連合全域に権利が及ぶ欧州連合商標(EUTM)や登録共同体意匠(RCD)は、 Brexitの成立と同時にイギリスにおいて効力を失ってしまったのでしょうか?

実は、そうではありません。

今後は移行期間の終了時期が重要になってきます。

今回は、EUTMやRCDで保護されていた商標や意匠の、イギリスにおける保護について、Brexitのタイミングと移行期間の関係を含めて、お伝えしたいと思います。

移行期間とは?

移行期間は、イギリスがEUからスムーズに離脱するために設けられた猶予期間・助走期間と言っても良いかもしれません。

この移行期間中は、イギリスはEU加盟国ではないものの、EU加盟国であったのと同様に扱われます

そのため、移行期間中は、欧州連合商標(EUTM)や登録共同体意匠(RCD)はイギリスでも有効な権利として取り扱われます。

また、移行期間中、イギリスの代理人はEUIPOに対する代理権もそのまま保有し続けます。

ということで、2020年1月31日にBrexitが成立し、イギリスがEU加盟国ではなくなったものの、移行期間が設けられたことによって、 EUTMやRCDについて即座に影響はありません。

では、移行期間はいつ終わるのか?

現時点では、2020年12月31日とされています。

そして、EUTMやRCDは、移行期間の終了時点でのステータスによって、次のように取り扱いが異なってきます。

移行期間の終了時点で登録済みのEUTM・RCD

移行期間終了(2020年12月31日)の時点で権利として登録されているEUTMやRCDは、イギリスにおいて、イギリス国内法による同等な権利が付与され、引き続き保護されます。

そのため、権利の空白期間が生じることはありません。

つまり、EUTMの対象となっていた商標やRCDの対象となっていた意匠は、それぞれイギリス国内で新たに付与される商標権・意匠権として保護され、EUTMやRCDとは独立して、権利の更新や譲渡、ライセンスが可能となります。

もちろん、イギリス以外のEU加盟国では、従来どおりEUTM・RCDは保護されます。

移行期間の終了時点で出願中のEUTM・RCD

移行期間終了(2020年12月31日)の時点で出願中のEUTMやRCDは、自動的には、イギリスにおける出願にはなりません。

EUTMやRCDの出願人が、出願中のEUTMの対象となっていた商標やRCDの対象となっていた意匠について、イギリス国内での保護を求めたい場合、イギリス国内法に基づく再出願が必要になります。

この再出願を、移行期間終了から9ヶ月以内に行うことで、EUTMやRCDの出願日(優先日)の利益を受けることができます。

再出願に際しては、イギリス国内法において要求される出願費用を支払う必要があります。

なお、イギリス知的財産庁から、EUTMやRCDの出願人に対して、再出願の必要性を促す通知はなされない見込みです。

そのため、出願人自身で、移行期間終了時点で登録となっていない出願をチェックし、必要に応じて、イギリスでの再出願を進めなければなりません。

不使用取消審判について

ところで、イギリスにおいては、5年間、商標がイギリス国内で使用されていない場合、不使用取消審判によって商標権が取り消される可能性があります

2021年1月1日時点で、 イギリス国内法による商標権が付与される対象のEUTMが商標登録から5年経過している場合、イギリスで付与される商標権も登録から5年経過していることになり、不使用取消審判の対象になります。

そのため、イギリス国内での使用実績がない商標については、即座に不使用取消で取り消されてしまうという懸念がありました。

そこで、イギリスでは、 EUTMに基づいて付与された商標権については、2021年1月1日以前の使用に限って、EU加盟国での使用を有効な使用として認めることにしました

一方で、2021年1月1日以降の使用については、イギリス国内における使用証拠のみが有効な使用として認められます。

移行期間が終了して2021年1月1日にイギリス国内法による商標権が付与される場合には、権利者は、その商標の使用についても考慮したほうがよいでしょう。

さいごに

EUTMやRCDについて、もはや気にすべきは、今年の年末時点での出願のステータスです。

一般に、欧州連合商標(EUTM)は、スムーズにいけば、出願から4~5ヶ月で登録になります。

登録共同体意匠(RCD)は、10日以内に登録になります。

ということは、これから出願しても2020年12月31日の移行期間の終了までにEUTMやRCDの登録を得られる可能性が十分にあるのです。

つまり、現時点でも、EUTMやRCDを通じて、Brexit後のイギリス国内の商標権・意匠権を得られるチャンスがあるのです。

EUとイギリスの両方で商標権又は意匠権を得ることを希望する場合、手続や費用の面では、今のうちにEUTMやRCD経由で出願したほうが良いと思います!

 

参考:イギリス知的財産庁ウェブサイト「EU trade mark protection and comparable UK trade marks from 1 January 2021」

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