Impact of Brexit(EU離脱)~延期の影響~

United Kingdom

※本内容に関連する最新記事は、2020年1月21日に公開した記事です。併せてご覧ください。

2019122日の本ブログにて、2019年3月29日の”no deal Brexit”(合意なき離脱)の可能性が現実味を帯びてきたことをお伝えしました。

しかし、実際には、3月29日に離脱は実現せず、4月12日までの短期間の延期を経て、2019年10月31日まで離脱の延期が決まりました。

欧州連合商標(EUTM)や登録共同体意匠(RCD)に関して起こりうるシナリオは、前述のブログで述べた通りです。

なおも混迷が続くイギリスのEU離脱の問題。

残るは離脱のタイミング。

どういうタイミングでの離脱になるのか想定しておきましょう。

離脱時期の可能性

2019年10月31日まで離脱の延期が決まったとはいえ、確実に10月末まで時間が稼げたわけではありません。

5月22日以前の離脱の可能性

5月22日までに、イギリス議会で離脱案が可決された場合、10月末を待たずに離脱が実現します。

この場合、離脱は「合意なき離脱」ではなく、「穏健な離脱」になるため、2020年末までは移行期間が設けられます。

そうすると、イギリスで同等な権利が発効される欧州連合商標(EUTM)や登録共同体意匠(RCD)を、十分な予見可能性をもって特定できます。

6月1日の離脱の可能性

一方、5月22日までにイギリス議会で離脱案が可決されず、かつ、5月23日から始まる欧州議会選挙にイギリスが参加しない場合、6月1日に「合意なき離脱」が現実のものとなります。

つまり、6月1日が判断基準時になります。

6月1日時点で出願中のEUTMやRCDについて、イギリス国内での保護を求めたい場合、イギリス国内法に基づく再出願が必要になります。

その期限はBrexitから9ヶ月です。

つまり、2020年2月末が再出願の期限になります。

10月31日の離脱の可能性

今回決まった離脱延期の最長期限が与えられるのは、5月22日までにイギリス議会で離脱案が可決されず、かつ、5月23日から始まる欧州議会選挙にイギリスが参加した場合です。

離脱の最長期限は、2019年10月31日になります。

その際、イギリス議会が離脱案を承認して「穏健な離脱」になるのか、再度離脱案を否決して「合意なき離脱」になるのかはまだわかりません。

さいごに

もう、正直どうなるかわかりません。

上記のシナリオ以外にも、10月末時点で改めて延期を決定するかもしれませんし、EU残留の再投票を目指す動きもあるようです。

もはや、権利取得をしたい商標や意匠について、イギリスが権利確保の重要国であるなら、イギリスは単独で出願してもいいかもしれません。

離脱のタイミングによる再出願に左右されずに済みます。

とはいえ、引き続き、出願中のEUTMやRCDを保有している企業や個人においては、Brexitのタイミングと自身のEUTMやRCDのステータスに注視する必要があります。

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