特許庁の料金改定について

2022年4月1日に特許庁の料金が改定されます。

内容は、主に権利の設定や維持に必要な登録料に関するものです。

今回はその料金改定について、商標に関する部分をご紹介します。

特許庁の発表

特許庁は「令和3年特許法等改正に伴う料金改定のお知らせ(令和4年4月1日施行)」と題して、料金改定を発表しました。

内容には、特許料・登録料に関するもののほか、国際出願に関するものも含まれています。

特許の国際出願に関しては、「送付手数料+調査手数料」の費用が倍増!

特許庁の懐事情も考慮されているのでしょうか・・・。

商標に関する改定内容

さて、商標については登録料に関する以下のとおりの改定がなされます。

国内商標関連の改定概要

出願時に支払う料金については変更はありません。

※参考【出願時の特許庁料金】
 1区分→12,000円
 2区分→20,600円
 3区分→29,200円(以降 1区分増すごとに、8,600円ずつ加算)

改定内容から読み取れること

改定内容から何が読み取れるか検討してみます。

設定登録時の登録料に関する改定内容

10年分の登録料の値上幅と、5年分の登録料の値上幅を比較すると顕著な違いがあります。

登録料の値上幅

5年分を2回払った場合(=10年権利を維持した場合)、改定前は10年分を一括で納付したほうが4,600円お得だったのが、改定後は1,500円しか得になりません。

更新登録時の登録料に関する改定内容

こちらも、10年分の登録料の値上幅と、5年分の登録料の値上幅を比較すると顕著な違いがあります。

更新登録料の値上幅

5年分を2回払った場合(=10年権利を維持した場合)、改定前は10年分を一括で納付したほうが6,400円お得だったのが、改定後は2,000円しか得になりません。

権利内容の定期的な見直し機会に

上記のとおり、5年分で権利を維持したときのデメリットといえる費用の差が狭まりました。

登録商標は、使用しなければ価値が生じず、不使用取消のリスクにもなるところ、登録した商標の態様と、商品やパッケージに実際に使用する態様とを一致させることは極めて重要です。

そして、商標の使用態様は、市場の状況や流行によって調整が加えられ、変化することも多々あります。

そのため、登録商標の管理上、定期的な使用態様のチェックは欠かせません。

5年の権利期間は、その見直し機会にちょうど良い気がします。

5年での見直し期間を設け、使っている商標を適切に守る活動は、長期的に見てブランドの保護に役立つと思います。

商標の重要度や、その商標の種類(会社名を示す商標なのか、個別商品名なのか等)も含め検討が必要ですが、これまで10年間を基本として納付してきた企業でも、今後は5年での納付を考慮してもよいと思います。

※なお、上記の費用については、弁理士費用は考慮していません。5年納付にして10年間権利を維持した場合、弁理士費用が1回分多くかかることが予想される点はご留意ください。

改定が適用されるタイミングと対象

原則

上述のとおり、今回の改定は、2022年4月1日に適用されます。

そのため、原則として、2022年4月1日以降は新料金での納付になります。

例えば、以下のように、登録査定を3月15日に受領した場合、3月31日までは旧料金で納付できますが、4月1日以降は新料金での納付になります。

3月中に登録査定を受けた場面

更新の場面も同様で、存続期間が2022年9月15日までの商標を例にすると、3月31日までは旧料金で更新手続きができますが、4月1日以降は新料金での更新になります。

9月に存続期間満了日を迎える商標の更新場面

例外1:追納期間の納付

ただ、存続期間満了日が3月31日までの場合、6ヶ月後まで認められる追納期間の料金(更新登録料+割増料)は旧料金での納付になります。

追納の場合

例外2:分割納付の後期分

また、登録料や更新登録料を分割納付した場合は、前期分(前半5年分)の料金と同じ額での納付になります。

例えば、前期分を3月31日までに支払った場合(=前期分が旧料金での納付の場合)、後期分(後半5年分)の登録料は旧料金での納付になります。

2022年3月末までに確認すべきこと

2022年3月中に登録査定を受けた商標出願や、2022年9月中に存続期間の満了を迎える商標については、旧料金での納付機会があります。

費用を少しでも抑えるためには、3月中の手続きが必要ですので、自社の出願や権利の状況を確認して、必要に応じて3月中の納付を行うのが良いと思います。

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