会社名を変更する際の商標側面の検討事項

Facebook社が社名をMataに変更すると発表しました。

このニュースを受けて、「すでに存在する会社のロゴマークに似ている」や「Metaの名称は商標登録できるのか」など、話題になりました。

では、会社名の変更の際に商標に関して、どういったことを検討するればよいのでしょうか。

Facebookを例に解説してみたいと思います。

Facebookの社名変更のニュース

2021年10月28日、Facebookのマーク・ザッカーバーグ氏は、社名変更を発表しました。

また、同社のウェブサイトにもアナウンスが出ています。

このように、企業の社名変更などのアナウンスは、突然発表されるものですが、その決定や発表に至るまで、何か月も前から検討し、準備するのが通常です。

Facebookの場合も、その準備には多くの時間を費やしたことだと思います。

社名変更で考えること

社名変更における検討事項として、商標関連側面では、少なくとも以下が挙げられます。

新社名がどのように認識されるか

社名変更で重要なのは、まず、「新社名がどのように認識されるか」に留意して、新たな社名候補を検討することです。

「自社のブランドイメージに沿った名称か」、「伝えたいメッセージが込められた名称か」といったソフト面における留意です。

例えば、高級感・安心感を売りにしている法律事務所が、「おちゃらけ法律事務所」みたいな名称を採用すると、顧客が抱いているその法律事務所へのイメージと名称がマッチしません(あえて奇をてらってそのような名称を採用することもありますが)。

そのようなことのないように、どのように認識されるかに留意する必要があります。

この点、Metaは、メタバースに注力していくFacebook社の思いを込めた名前だと言え、わかりやすいと思います。

商標登録できるのか?

識別力の観点

せっかく社名変更するのだから、業界内で一般化されているような名前は採用すべきではないと思います。

名前を聞いただけで、自社であることを特定できるように、識別力のある名前(自社商品・サービスと他社商品・サービスとを区別できる名前)を採用したほうがよいでしょう。

例えば、弁理士の中村氏が開業するときに「中村弁理士事務所」という名前を採用しても、中村の氏を持つ他の弁理士が同じ名前を採用する可能性があるので、自社と他社とを区別できる名前とは言いづらいでしょう。

Metaについては、メタバースやメタデータなど、IT関係では「Meta」を接頭語に使った言葉が多くあり、「Meta」の名前は必ずしも識別力が高いとは言えないかもしれません。

ただ、今回の発表が大々的に報道されたように、同社への注目度が高い状況では、「Meta」でも識別力ある名前として認識される可能性は高く、Facebookとしてはそれが狙いでこの名称を採用したのかもしれません。

他社登録商標との関係

また、他社の登録商標と紛らわしい名前をわざわざ採用する必要はありません。

いくらカッコいい名前で社長が気に入ったからと言って、火中の栗を拾うような真似は避けるべきです。

社名変更したのに、商標権侵害を理由に差止請求され、名前を再検討しなければならなくなるかもしれません。

この点については、「Meta」の文字やロゴマークは問題をはらんでいる可能性があります。

例えば、日本においては、電子機器関連の分野で、米国企業の「Meta Company」が商標「META」を保有しており、Facebookがソフトウェア関連の商品について商標権を取得する際の障害になり得ます。

また、日本に限らず、同様の問題に他の外国でも直面する可能性があります。

ドメインが取れるのか?

また、ドメインは、今日の企業活動においては必須のアイテムです。

社名の英語表記から構成されるドメインを取得できるかどうかも必須の検討事項です。

Facebook社は、「meta.com」についてはすでに保有しているようで、この点の問題はクリアしています。

名称の決定に文化の違い?

ところで、上述のように「Meta」は他社の商標登録との関係で、商標権の取得が容易ではないと思われます。

この点については、Facebook社としては、とりあえず出願をして各国で個別に対応(お金で解決?)していくのでしょう。

ここに国又は企業の文化の違いが表れている気がします。

日本の企業の場合、社名に限らず、商品名やサービス名でも周到に調査をして商標登録可能性が高いもの、他社侵害リスクが低いものを優先的に採用する傾向があると思います。

一方、欧米企業では、多少のリスクがあったとしても、そのまま進めて後々個別に対応していくケースが多々見受けられます。

どちらが良いとは言いませんが、最近のビジネスでの時間軸から考えると、後者のやり方も合理的ではあります。

但し、将来のコストが見通せなかったり、国ごとの個別対応に限界があるかもしれないので、そこは、予算やリソースとの兼ね合いで検討することが必要だと思います。

動画のご紹介

本記事について話をしたYoutube動画を公開しています。

Facebook社のアメリカでの商標出願も紹介していますので、ぜひご覧ください。

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