アメリカの商標登録から探る「Coca-Cola」ロゴのすごさ
今年も残すところあと1ヶ月♪
今日は、パテントサロン管理人の大坪和久様の企画で行われている「知財系 Advent Calendar 2020」の一環として投稿します。
Advent Calendar とは,
Adventar: https://adventar.org/help より
「本来、12月1日から24日までクリスマスを待つまでに1日に1つ、
穴が空けられるようになっているカレンダーです。
WebでのAdvent Calendarは、その風習に習い、
12月1日から25日まで1日に1つ、みんなで記事を投稿していくというイベントです」
そう、今日、12月1日が最初です!
せっかくなので、何かクリスマスに関係する題材を取り上げようということで一人で連想しました。
クリスマス🎄と言えば、サンタクロース🎅
↓
サンタクロース🎅と言えば、赤と白
↓
赤と白と言えば、コカ・コーラ!
ということでお題は、コカ・コーラ!
サンタクロースとコカ・コーラ
サンタクロースのイメージは、コカ・コーラ社が、冬場のコカ・コーラの販促のために赤と白で広告を作ったのが始まりということを聞いたことがあったので、いきなり横道にそれますが、少し調べてみました。
アメリカのコカ・コーラ社のウェブサイトを見たところ、その歴史を伝えるページがありました。
コカ・コーラ社は、1920年代からコーラの広告にサンタクロースを登場させており、1931年のクリスマスシーズンの広告キャンペーンから今日のようなサンタクロースの絵を用いたようです。
ただ、それ以前より、コカ・コーラ社の広告以外にも、赤いコートを着たサンタは描かれており、赤がコカ・コーラのイメージカラーであることを理由に、サンタクロースが赤いコートを着ているのではないようです。
上記コカ・コーラ社のウェブサイトにもこのことが記載されています。
強いて言えば、サンタの共通イメージ(赤いコートと白い口髭を生やした陽気なおじさん)を世界中に広めたのは、コカ・コーラ社の功績といっても良いと思います。
コカ・コーラの商標の歴史(アメリカ)
では、そろそろ本題に入りたいと思います。
そんなサンタクロースのイメージを世界に広めたコカ・コーラ社ですが、サンタクロースを用いた広告キャンペーンもさることながら、商標の世界展開も素晴らしいのです。
「Coca-Cola」のロゴマークは誰もが知っていると思います。
コカ・コーラ社のウェブサイトによると、このロゴは、コカ・コーラを発明した薬剤師ジョン・S・ペンバートン博士のパートナーで経理担当のフランク・M・ロビンソン氏が作ったとのことです。
私が子供の頃も同じロゴだったと思います。
ではいつから?
と思って、USPTO(米国特許商標庁)の商標検索ページで調べてみました。
次の商標登録が最古と思われます。
出願は1892年です。
そして、この商標登録の情報によると、「Coca-Cola」のロゴが最初に使用された日付は、出願日から5年前の1887年6月28日。
コカ・コーラの最初の発売が1886年なので、コカ・コーラの最初の発売から1年後には今日のロゴとほぼ同じロゴが用いられていたことが分かります。
なんと、今から130年以上も前です!
ちなみに、この商標権は、現在でも有効に権利が維持されています。
アメリカでは商標権の維持のために、現時点で商標を使っている証拠を提出しなければなりません。
多くの商標は、時間が経つと使用する商標が変わって証拠を出せずに権利を失効せざるを得なくなるのですが、コカ・コーラ社は、今日のコカ・コーラの缶の写真を提出して使用証拠の要件をクリアしています。
そして、コカ・コーラ社は、アメリカだけでなく、世界中で同じ「Coca-Cola」ロゴを使ってコカ・コーラを売っています。
考察
商標の役割
商標は「自分の商品・サービスと、他社の商品・サービスとを区別・識別するための目印」です。
また、ブランドは「個々人の記憶にある、企業や商品・サービスに対する印象や評価」や、「そのような印象や評価を持つに至った商品やサービス」と言っていいと思います。
場合によっては、ブランドは、企業や商品・サービスに対する信用や信頼感ともいえるでしょう。
そのため、ブランドは、商品が宣伝されたり、販売されて初めて生まれます。
商品が宣伝されたり販売されたりする際に、特定の商標が使われることで、商標と、ブランドとが結びついて記憶され、私たちは、意識せずとも、商標を目印として、数ある他の商品から一つのブランドを瞬間的に峻別して商品を買うことができるようになります。
つまり、商標はブランドを認識するときの目印になるのです。
企業が特定のブランドの商品に同じ商標を使い続けると、消費者は永続的にそのブランドの特定が容易になり、結果、企業は、ブランドの存在を消費者に伝えるコストを低減できます。
例えば、コカ・コーラが、地域によって「Coca-Cola」の書体を変えて販売されていたら、異なる地域の消費者は旅行先の店舗で自分が欲しいコカ・コーラがどれなのかパッと見て判別できず、探すのに時間が掛かってしまいます。
商標を、一つの「Coca-Cola」ロゴに統一しておけば、消費者は、自分が知っているコカ・コーラ社のコーラを迷わず手にすることができるのです。
「Coca-Cola」ロゴのすごいところ
そして、同じ「Coca-Cola」のロゴマークが世界中で130年以上も使い続けられたことが意味するのは、全世界・全世代の人々が、同じ「Coca-Cola」のロゴによって、コカ・コーラ社のコーラのブランドを他の飲料と容易に区別できる状態が維持されているということです。
これは考えたらすごいことです。
特に全世代の人っていうのが、すごいです。
おばあちゃんが孫にお遣いを頼んでも間違わない。
孫がおばあちゃんに飲みたい飲み物を伝えるときでも間違えない。
他の例えを挙げると、
以前、食品・飲料大手の「Nestlé」は「ネッスル」と読まれていました。
今日では「ネスレ」です。
「ネッスル」と「ネスレ」とが同じ企業名を指すと知らない世代が、ネッスルに慣れ親しんだ世代の人から「ネッスルのコーヒー買ってきて。」と頼まれたら、
「ネッスル?なにそれ?」となってコミュニケーションがうまくいかない可能性があります。
店舗にいっても『「Nestlé」(ネスレ)はあるけど「ネッスル」はない』と思ってしまうことも考えられます。
場合によっては、「なんでコーヒーでハッスルすんねん。」と口論にまで発展しかねません(ならないか)。
コカ・コーラの場合には、発音に加え、見た目にもそのようなコミュニケーションの食い違いがないといえるのです。
地域・世代を問わずコミュニケーションの齟齬がない状態になっている「Coca-Cola」ロゴ。
すごいです。
さいごに
今回はクリスマスのイベントを機に、「Coca-Cola」のロゴマークについて考えてみました。
「Coca-Cola」のように全世界・全世代を通じて共通の認識を持っているブランドは世の中に多くないと思います。
これは、消費者が「Coca-Cola」のロゴマークを古臭く感じたり、ダサいと思ったりしないように、コカ・コーラ社がメッセージを伝え続けているからこそできたのだと思います。
130年以上前からあるロゴマークなのに、フレッシュなイメージを保ち続けている。
めちゃくちゃ、すごくないですか!?
今年のクリスマスは、コカ・コーラで乾杯です!
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