ミャンマー商標法の施行

東南アジアの最西部に位置するミャンマーでは、これまで、商標法がありませんでした。

どうやって商標を保護していたかというと、商標の所有権について「私が権利を保有していますよ」という宣誓書(所有権宣誓書)を登記し、さらに、商標の所有権を保有していることについて新聞広告を掲載することで、商標に関する権利を主張する実務が行われてきました。

そのミャンマーで、2020年1月から待望の商標法が施行されることになりました。

※下記情報はこれまでに知り得た情報を基に執筆しています。実際の手続においては法律や規則、実務上の取り扱いが本記事とは異なる可能性がありますのでご了承ください。

ミャンマー商標法の概要

これまでの情報では、ミャンマーの商標法は、先願主義(先に出願手続きをした人が優先する制度)を採用し、審査では絶対的拒絶理由(識別力)の審査のみが行われ、相対的拒絶理由(先行商標との類否)については異議申立があった場合に行われる見込みです。

これまでに登記した所有権宣誓書はどうなるのか?

新たな商標法が施行されて、商標の登録制度が始まるわけですが、これまでに登記した所有権宣誓書に基づく権利はどうなるのでしょうか?

結論としては、所有権宣誓書に基づく権利は、新たな商標法の下において、そのまま保護されるわけではありません!

新たな商標法に従って手続きをする必要があります。

この点について、ミャンマー当局は、2段階の商標法の施行を予定しており、2020年1月から6ヶ月間の第一段階と、2020年7月以降の第二段階に分けて考えられています。

第一段階では、過去に所有権宣誓書を登記したことのある商標を対象に、商標出願を受け付けます。

この第一段階において、過去に提出した所有権宣誓書を添付して出願することができ、これにより、旧実務において権利を主張していた商標が過去から継続的に商標権として主張できることになると思われます。

次に、第二段階で、これまでに所有権宣誓書を提出していなかった商標の出願受付が開始します。

過去に所有権宣誓書を提出したことがある企業

過去に所有権宣誓書を提出したことがある企業においては、新たな商標法の施行に際して最初の6ヶ月の内に、過去に所有権宣誓書を提出した商標について商標出願をする必要があります。

そうしなければ、過去の所有権宣誓書に基づく権利を主張できなくなる恐れがあります。

また、過去の所有権宣誓書の提出時期や内容を見直して、あまりにも古い場合や書類が見つからない場合などは、2019年12月中に再度の所有権宣誓書の登記及び新聞広告の掲載を行うことも検討すべきと思います。

所有権宣誓書を提出したことがない企業

一方、これまでに宣誓書を提出したことがない企業においては、2020年7月以降の第二段階を待つことになります。

ただ、商標権の取得について緊急を要する場合には、2019年12月中に、現行法下において所有権宣誓書の登記及び新聞広告の掲載を行って、2020年1月からの第一段階で出願することを検討しても良いかもしれません。

さいごに

新たな制度が始まるときは、いろんな混乱が起こり得ます。

2020年になって商標法が施行されると日付を遡ることができないので、重要な商標(ブランド)については、権利を確固たるものにするために、今すぐに過去の所有権宣誓書の状況を確認して、2020年1月の商標法施行の準備を進めたほうが良いでしょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です