Galaxyに見るサムスンの商標戦略
先日、GalaxyのテレビCMを見かけました。
その時、「あれ?Galaxyってサムスンだったと思うけど、社名”SAMSUNG”が一切出てこないな。」と思ったのです。
そこには商標を使ったイメージ戦略がありそうです。
日本市場向けのGalaxy
スマホは前面のほぼすべてがディスプレイのため、裏面にブランドロゴが入ることが一般的です。
サムスンの日本市場向けのウェブサイトでGalaxy をみたところ、下の写真のようになっていました。
裏面に「Galaxy」の文字が確認できます。
日本以外の市場向けのGalaxy
一方で、サムスンのアメリカ向けサイトを見ると、同じGalaxy S10でも、裏面の表示はこうなっていました。
そう、「SAMSUNG」と書いてあるのです。
サムスンの狙い
サムスンは、日本市場向けには、「SAMSUNG」の文字を極力表示しないように配慮していると思われます。
ウェブサイトのURLも日本市場向けは「https://www.galaxymobile.jp」であるのに対して、日本以外では「https://www.samsung.com」が使われています。
日本から「https://www.samsung.com」にアクセスしようとしても、「https://www.galaxymobile.jp」にリダイレクトされてしまいます。
おそらく、日本市場への対応として採られた策と考えられます。
韓国の大企業として著名なサムスンが、自社のことを強くPRすることが、日本市場では必ずしもポジティブに作用しないと考えているからだと思います。
程度の差こそあれ、企業イメージは、その企業と結び付きが強い国(設立国やオーナーの国籍等)のイメージと結び付いて理解されることがあります。
それに対してどのよう対応するかは自由です。
サムスンは、いろいろな要素を検討し、グローバルに使われている”SAMSUNG”ブランドではなく、「Galaxy」を前面に押し出してプロモーションすることにしたのでしょう。
商標の使い分け
このように、商標を使い分けることで、市場にカスタマイズさせたプロモーション活動ができます。
上記のサムスンの例は、地域的・地理的な商標の使い分けでしたが、ほかにも、商品ラインナップを対象にした商標の使い分けもあります。
例えば、多くの車種を販売するトヨタは、高級車ブランドとして「LEXUS」を展開し、”TOYOTA”ブランドを使用しないプロモーションに成功しています。
トヨタの場合は、高級車市場にカスタマイズさせたプロモーションのために商標を使い分けています。
さいごに
以前、マツダが車名を「MAZDA +数字」にする戦略を紹介しました。
今回の Samsungが日本で取ったGalaxy のプロモーション戦略は会社のイメージと、製品イメージとの混同を避ける戦略とも言えます。
そういった意味ではマツダとは逆のやり方です。
企業イメージをあえて伝えない戦略として商標をうまく使った事例と言えます。