知的財産の専門家「弁理士」とは?
このブログの執筆者である私、中村祥二は弁理士です。
仕事以外の場面で職業を聞かれることがあるのですが、以下のような問答が毎回のように繰り返されます。
私:「職業は弁理士です。」
相手:「ベンリシ?」
私:「はい。特許とか商標とかを保護する専門家です。」
相手:「はぁ、そうですか・・・。それはパソコン使ったりするデスクワークですか?」
私:「・・・まぁ、そうです。」
残念ながら、弁理士は、弁護士・公認会計士・司法書士・行政書士ほど知名度が高くないことが明らかです。
日本弁理士会のウェブサイトには、弁理士について、次のように書かれています
弁理士は”知的財産に関する専門家”です。
日本弁理士会ウェブサイト「弁理士とは」
・・・、これだと何のことやらさっぱり分かりません。
知的財産ってなに?
”財産”の専門家ってどういうこと?
今日は、弁理士が何をする人なのか紹介したいと思います。
知的財産とは?
知的財産を挙げると、例えば、以下のようなものがあります。
- 新しい技術などの”発明”
- 製品の外観デザイン
- 小説や音楽などの”著作物”
- ブランドを示すマーク
これらは、人の創作活動によって生み出されたものや、商品やサービスを示すための標識で、事業活動に用いられる情報といえます。
つまり、知的財産とは、事業活動に有用な技術上又は営業上の情報なのです。
そして、知的財産の一部で特に産業に使われる知的財産は、特許庁という役所に届け出て、審査を受けることで、特許権、実用新案権、意匠権、商標権(総称して「産業財産権」ということがあります。)として権利になります。
権利になるということは、その知的財産について、他人が使うことを排除でき、独占できるということです。
ところで、知的財産は、”情報”なので、物(例えば、椅子)のように一人が使ったら他人が使えなくなるということがありません。
誰かがその情報を使っても、同時に他人もその情報を用いることができます。
今日では、情報のコピーは容易になり、また劣化のないコピーを無限に作ることができるようになりました。
そういう意味で、自らが作った”情報”を権利にして、他人の使用を排除することは、今日の事業活動上の競争力を保つ上では重要なのです。
弁理士とは?
では、ここで戻って、前述の日本弁理士会の「弁理士とは」の説明の”知的財産”を少しかみ砕いて述べると、
弁理士は、”事業活動に有用な技術上・営業上の情報”の専門家
ということになります。
これでもまだ、いまいちピンときません。
では、ここで弁理士の業務内容にどういうものがあるのか挙げてみます。
- 事業活動に有用な技術上・営業上の情報の権利化
- 事業活動に有用な技術上・営業上の情報に関する契約の締結
- 事業活動に有用な技術上・営業上の情報に関する紛争解決
- 事業活動に有用な技術上・営業上の情報の活用についての助言、など
つまり、弁理士は「知的財産(事業活動に有用な技術上・営業上の情報)」の保護や活用の専門家なのです。
もう少し言うと、弁理士は、企業や事業を営む個人が保有する”事業活動に有用な技術上・営業上の情報”を保護し、活用することを通じて、事業が円滑に回るようにサポートする仕事をしているのです。
なぜ分かりにくいのか。
ちょっと乱暴ですが、各士業の仕事を一言で言うと、士業の名前が仕事の内容に関連していることが分かります。
弁護士・・・人を弁護する仕事。
公認会計士・・・会計に関する仕事。
税理士・・・税務に関する仕事
司法書士・・・司法に関する仕事
行政書士・・・行政に関する仕事
一方の弁理士は、というと、
弁理士・・・弁理に関する仕事???
となって意味不明です。
さらに弁理士は、企業や事業を営む個人など、事業主相手の仕事がほとんどです。
だから一般になじみが薄く、その職業がわかりにくいのだと思います。
さいごに
弁理士はこれまで”事業活動に有用な技術上・営業上の情報”(知的財産)を権利化する業務が主でした。
しかし、これからはそれだけでは足りず、もっと積極的に企業や事業を営む個人の事業活動に関わっていくことになると思います。
そういった活動の中で弁理士の知名度も上がり、その必要性が世間に知れ渡るようになれば良いと思っています。