図形商標 調査のポイント

商標出願前に他社の商標登録を調べることで、審査で拒絶される可能性を予見し、事前の対策を打つことができます。

ただ、文字の商標は自分で調査できるけど、会社のロゴマークなどの図形商標は、どうやって調査するのか疑問に思ったことはありませんか?

今回は、図形商標調査の方法、ポイントについて、具体例を挙げて解説します。

調査対象

調査対象は、警視庁のマスコットキャラクター「ピーポくん」です。

ちなみに、ピーポくん、昭和62年4月17日生まれのようです。

これにはびっくり!

ピーポくんの詳しいプロフィールについては、警視庁のウェブサイトをご覧ください!

調査方法

では、具体的な調査方法についてご紹介します。

調査は、調査対象となる商標の図形データをポイっと入れれば自動で、、、というわけにはいきません。

特許庁では、図形調査の効率化を目指し、図形データから自動で類似する商標を見つけ出すシステムの開発を進めていますが、まだ本格的な実用段階にはきていません。

では、どうするかというと、図形の特徴に付与された分類で調査します。

この図形分類は、ウィーン図形分類と呼ばれ、国際的な協定として各国で採用されているものです。

図形分類の探し方

その図形分類は、工業所有権情報・研修館が運営する「J-PlatPat」で確認することができます。

ここで、ピーポくんは、人でもなく、動物でもなさそうなので、「4.超自然的・伝説・空想又は確認できない生き物」に該当すると考えられます。

そこで、「4.超自然的・伝説・空想又は確認できない生き物」をクリックすると、さらに展開されて、当該分類の下位概念が出てきます。

こうやって細かい図形分類を探していくと、「4.5.5 その他の確認できないものの擬人化、その他人間の姿をした空想上のもの」というのがあって、これが近そうな気がします。

検索の実行

図形コードを一つ特定できたので、J-PlatPatの「商標検索」タブに移動して検索してみます。

今回は、次のように調査範囲を文房具類の範囲(類似群:25B01)に絞って行います。

検索ボタンをクリックすると、ヒット件数は1600件以上!

これを多いとみるか、少ないとみるかは、人によってそれぞれだと思いますが、図形商標調査の場合は、1600件程度は余裕で見る件数です。

閲覧するときは、「検索一覧オプション」で「書誌と商標見本(カード形式)を選択すると見やすいでしょう。

これでスクロールしていくと、74件目にありました!

図形調査は、このように、図形分類を特定して、ひたすら見る!ということで実施します。

図形調査の留意点

このように図形分類がうまく特定できれば、望む調査結果を得ることができます。

ただ、留意しなければいけないのは、図形分類の付与にばらつきがあることです。

例えば、同じピーポくんでも、審査官によって異なる図形分類を付与しています。

商標登録第4467855号のピーポくんでは、以下の3つの図形分類が付与されています。

  • 3.5.17  「シリーズⅠからⅤに属するその他の四足獣」
  • 3.5.25.1 「シリーズⅤの動物の擬人化」
  • 4.5.5  「その他の確認できないものの擬人化、その他人間の姿をした空想上のもの」

 

一方、商標登録第6204849号のピーポくんには、以下の5つの図形分類が付与されています。

  • 4.5.5  「その他の確認できないものの擬人化、その他人間の姿をした空想上のもの」
  • 4.5.15  「確認できない擬動物化したその他の形態、動物の外観を持つその他の空想上の存在」
  • 9.3.1  「衣服」
  • 9.3.17  「ベルト、バックル」
  • 16.1.1.1 「アンテナ、パラボラアンテナ」

 

そうすると、例えば、図形分類の特定で、4.5.15「確認できない擬動物化したその他の形態、動物の外観を持つその他の空想上の存在」のみを対象に調査してしまうと、商標登録第4467855号のピーポくんは見つからないのです。

そのため、図形分類による調査を実施する場合には、複数の観点から幅広く検索することが必要になります。

動画のご紹介

本記事について話をしたYoutube動画を公開しています。

実際に検索する様子をお見せしていますので、ぜひご覧ください。

 

 

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