マレーシアを指定した国際商標出願が可能になります
2019年9月27日、マレーシア政府は、マドリッド協定議定書(商標の国際登録に関する条約)への加入書を世界知的所有権機関(WIPO)事務局長に寄託しました。
これにより、マレーシアでのマドリッド協定議定書が2019年12月27日に発効します。
マレーシアの加入における条件
マレーシアの加入には次の条件が含まれています。
- 暫定的拒絶の通知期間を18ヶ月の期間とすること、及び、18ヶ月の期間の満了後においても異議の申立ての結果生じた暫定的拒絶を通報することができること
- 自国を指定する国際登録及び当該国際登録の事後指定及び更新について、個別の手数料の支払を受けること
- 標章を使用する意思の宣誓書を要求すること
- 国際登録簿のライセンスの記録が加盟国において効力を有しないこと
上記のうち、「3.標章を使用する意思の宣誓書」は、国際出願の書類に添付する必要がありますので注意が必要です。
マドリッド協定議定書とは
マドリッド協定議定書とは、正式名を「標章の国際登録に関するマドリッド協定の1989年6月27日にマドリッドで採択された議定書」といい、一般的には、英語での表現「マドリッドプロトコル」と呼ばれたり、その省略形で「マドプロ」と呼ばれたりもします。
自分の国で保護されている商標をWIPOが管理する国際登録簿に国際登録をして、指定した加盟国での商標の保護を求めることができる制度です。
下の模式図のように、複数の外国への商標出願の手続を、日本国特許庁を通じたWIPOへの国際登録で一度に完了させることができるため、効率的に外国での商標権の取得ができる制度です。
ただ、商標の登録要件の審査は、国際登録の後に各国でそれぞれ行われるため、国際登録がされても、指定した加盟国での商標の保護が自動的に与えられるわけではありません。
最後に
マドリッド協定議定書には、アメリカや欧州連合、韓国、中国など多くの国・地域 が加盟しています。
最近は、アジア各国の加盟が増えてきており、すでにシンガポール、ベトナム、フィリピン、インド、ラオス、ブルネイ、タイ、インドネシアなどが加盟しています。
そのため、今回のマレーシアの加盟によって、より一層、マドリッド協定議定書を通じた国際登録の利便性が高まったといえます。