事務所名の由来(2)
こんにちは。Markstoneの中村です。
私が運営するMarkstone知的財産事務所は、設立当初から「Markstone知的財産事務所」という名称を採用し、活動を始めました。
多くの特許事務所・弁理士事務所が「”苗字”(+”名前”)+特許事務所」の名称で活動する中で、あえて抽象的な名称を採用しました。その背景には、以下のようなブランディング上の戦略があります。
- 苗字の「中村」がありふれている
- 将来のこと
- 名前から浮かぶ印象
- 他社の権利との関係
前回は、「1.苗字の「中村」がありふれている」についてお伝えしました。今回は、「2.将来のこと」についてお伝えしようと思います。
弁理士の事務所に限らず、いわゆる士業(弁護士・税理士・司法書士・行政書士など)の事務所は、創業者(所長)の名前を事務所名に冠することが多いと思います。
このような事務所名の選定には、名称を見ただけで担当する有資格者の先生がわかるというメリットがあると思います。
士業の仕事は、お客様との人対人の関係が比較的強いため、事務所名に自分の名前を利用することは悪いことではなく、有利に働くことも当然あります。
一方で、創業者の名前を事務所名に採用している事務所において、創業者が事務所を退く前後(特に創業家のメンバーが跡を継がない場合)に必ずと言っていいほど検討されるのが事務所名の変更です。
士業として資格を取得する人は、独立志向が強い人もいるので、「自分が代表者になるのに、どうして他人の名前で仕事をしないといけないのだ!」と思うこともあるかもしれません。
私は、事務所を創業するとき、事務所は一代限りではなく、一般的な企業のように、事業の継続性・永続性を保てるような視点が必要だと思いました。
特に、私がメインとして取り扱う商標権は、半永久的に権利を維持することができる権利です。
お客様がブランドに関して息の長い活動をするのに、その権利の取得や維持管理を担当する弁理士の事務所が一代限りでは、お客様のブランディング活動に寄り添った対応ができないと思いました。
そして、事業の継続性・永続性を考えたとき、将来的に事務所名を変更する必要性や動機が生じる名称の採用は、ブランディング上の効率が悪く、コストになると考えたのです。
将来事務所がどうなるかは、これからの活動内容次第ではありますが、以上のようなことを考えて、創業の段階で、苗字を使わずに、抽象的な名称でスタートしたほうが良いと思ったのです。
もちろん、創業者がいなくなった後も、創業者の名前を使用している事務所名はたくさんあります。ただ、それは、その事務所名がある程度有名になっている場合に多いのではないかと思います。
私の場合、実は、“中村”の名前を持つ超有名な大手特許事務所が都内にすでに存在していました(あえて名前は出したくありませんが・・・)。このことも、苗字を使わなかった理由の一つではあります。
つづく