イートインとテイクアウトで違う?商標上の留意点

イートインとテイクアウト。

来週から税率が上がる消費税の話ではありません。

商標実務では、イートインとテイクアウトは、以前から重要なポイントでした。

何かというと、指定する商品やサービス(役務)の話です。

指定商品・指定役務とは?

商標出願は、単に商標を決めればそれを登録できるのではなく、商標を使用する商品やサービスを特定して出願しなければなりません。

例えば、商標「ASAHI」を“ビール”という商品に使うのか、“自転車小売業“というサービスに使うのかで権利の内容が異なってきます。

アサヒビールとサイクルベースあさひ
アサヒビールとサイクルベースあさひ

この商品のことを専門用語で「指定商品」、サービスのことを「指定役務」といいます。

レストランで提供される飲食物は「商品」?

では、レストランで提供されるイートインとテイクアウトの”飲食物”は、商標法上、どういう扱いになるのでしょうか。

イートインの場合

顧客がレストランの店内に座り、そこで提供される飲食物を消費する場合、レストラン側からすると、「飲食物の提供」(第43類)というサービスを提供していることになります。

ファーストフード店を想像するとちょっとわかりづらいかもしれませんが、通常のレストランだと、「綺麗に皿に盛り付けて、料理が温かいうちにお客様のテーブルまで運ぶ」→「食事中にもお客様に気を配り、必要なもの(追加注文)が無いか聞く」→「食べ終わったら皿を下げて、お茶や水を出す。」といったことをサービスとして提供しています。

つまり、お客様(他人)のためにレストラン内で食事を提供するという一連のサービスを提供しているのです。

そのため、商標法上は、イートインで提供される飲食物は、その「飲食物の提供」というサービスをするために用いられる一つの物(”道具”や”手段”と言ってもいいかもしれません)に過ぎないのです。

テイクアウトの場合

一方で、テイクアウトでは、顧客は飲食物を包装(袋)に入れてもらって受け取るだけです。

レストラン側からすると、個々の飲食物を”商品”として販売していることになります。

お客様がそのハンバーガーをどこで食べようが、他人に転売しようが自由なわけです。

つまり、飲食物は、その売買取引の対象そのものになるのです。

そのため、テイクアウトの場合は、飲食物は「商品」として扱われます。

例えば、ハンバーガーなら第30類「ハンバーガー」という指定商品になります。

マクドナルドでマクドナルドブラントのハンバーガーを買うのと、セブンイレブンでセブンイレブンブランドのハンバーガーを買うのが同列に扱われると思えば理解いただけると思います。

まとめ

レストランについて商標権を取得する場合、イートインのみのサービスなのか、テイクアウトも対応するのかで、必要な指定商品・指定役務の範囲が異なってきます

イートインだけなら第43類の「飲食物の提供」だけでよいかもしれませんが、テイクアウト販売もあるなら、その飲食物を商品としてカバーする指定商品の選定が必要です。

消費税アップにあたって

今回の消費税率のアップは、飲食業界にとっては、軽減税率の対象かどうかを、お客様のイートインかテイクアウトかの希望によって場合分けをする必要があるので大変だと思います。

ただ、イートインとテイクアウトの比率を正確に把握することができ、事業内容を見直すきっかけになるかもしれません。

10%と8%の両方の税率を使う事業者の方は、ぜひ、イートインとテイクアウトの状況を見極めて、自身の商標登録の範囲が、それに対応しているか確認してみてはいかがでしょうか。

イートインとテイクアウトで違う?商標上の留意点” に対して1件のコメントがあります。

  1. 西尾 より:

    AIと闘うとの事、ネット上で見かけました。
    https://www.google.com/amp/s/prtimes.jp/main/html/rd/amp/p/000000007.000035800.html
    陰ながら応援してるので頑張って下さい、!

    1. 中村 祥二 より:

      ありがとうございます。
      がんばります!

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