ラーメン自動販売機の指定商品・役務
新型コロナウィルス感染症の影響で自宅での食事が増えたことが追い風となって、冷凍ラーメンの自動販売機が話題になっています。
今日は、そんなラーメン自動販売機のブランドを保護するときの指定商品・役務を検討してみたいと思います。
ラーメン自動販売機のブランド
ラーメンの自動販売機をインターネットで検索すると、たくさん出てきます。
例えば↓のリンク!
有名店の味をそのまま自宅で味わえる、と謳っているのが結構あって、自宅に居ながら美味しいラーメンを食べられるのが受け入れられているのだと思います。
商標の使われ方
商標は、自社の商品やサービスと、他社の商品やサービスとを区別する目印です。
ラーメンの自動販売機を例に、商標の働きの流れを挙げると、
① 初めて買った冷凍ラーメンの自動販売機に↓のマークが付いていた
②『冷凍ラーメンの自動販売機で買ったラーメンが美味しかったから、また買おう』と思う。
③ 街中で同じマークが付いた自動販売機を見つけ、
『そういえば、以前買ったときと同じマークが付いてるから、同じように美味しいに違いない!』と考え、購入する。
という流れです。
ここでのポイントは、マーク(商標)と、それが付けられた商品に対して抱くイメージや感想が購入者の頭の中でリンクして記憶されるところです。
これによって、次に購入するときの手助けや口コミでの伝播につながります。
なお、冷凍ラーメンの場合は、ラーメンの味に関しては、個々のラーメン店の商標(例えば、「ラーメン バリ男」)が重要視されるかもしれません。
ただ一方で、品揃えという観点からは、ラーメン自動販売機の運営会社の商標 (例えば、「ヌードルツアーズ」)が重要になるのだと思います。
ここから先は、品揃えの観点からのラーメン自動販売機自体の商標について検討したいと思います。
指定商品・役務とは
商標権を取ろうとするとき、必ず決めなければいけないのが、指定商品・指定役務です。
これは、商標を使う範囲を定めるものです。
同じ「ASAHI」という文字でも、飲料、新聞、自転車販売などの分野で異なる企業が商標権を保有しているのはそのためです。
飲料だったら?
ところで、自動販売機で販売される商品と言えば、缶やボトル入りの飲料が定番です。
そして、一般的に、飲料の自動販売機は、自社商品の販売を目的として、飲料メーカーのグループ企業が設置して販売しています。
そうすると、飲料の自動販売機に付けられたマーク(商標)は、その販売対象の飲料がどのメーカーかを示していると言えます。
そのため、商標の取得範囲も、
第32類「清涼飲料」などが指定商品となります。
ラーメンはどう?
それでは、ラーメンはどうでしょうか?
これも飲料と同じように考えることができます。
自社商品の販売の場合
まず、飲料と同じように、自社開発のラーメンの販売を目的として設置される場合は、
第30類「ラーメンスープ付きラーメンの麺」や「調理済み冷凍ラーメン」が該当するでしょう。
厳密には、冷凍の麺を鍋で茹でて調理する必要があるので「ラーメンスープ付きラーメンの麺」が中心的な指定商品になるかと思います。
自社商品の販売ではない場合
一方で、自社開発のラーメンではないラーメンを販売する可能性もあります。
イメージとしては、スーパーの冷凍食品売り場をそのまま自動販売機に置き換えたようなものです。
その場合には、自動販売機は冷凍ラーメンを小売りするという関係になるので、
第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」が該当するでしょう。
なお、実際のラーメン自動販売機の運営事業者を見ると、多くは、自社開発商品(有名店とのコラボを含む)を売っているようなので、こちらに該当するのは多くないような気がします。
その場で食べるために熱々を作っちゃう
バスの待合室やサービスエリア等で時々見かける、その場で食べることを前提に熱々のそばやラーメンを作る自動販売機はどうでしょう??
この場合は、実は
第43類「飲食物の提供」に該当する可能性があります。
特に、飲食用のテーブル等が設置されている場合には、こちらに該当する可能性が高いでしょう。
商標登録の状況
ちなみに、冒頭にリンクを貼った2社については、「ヌードルツアーズ」は第7類「自動販売機」と第35類の「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」などについて商標権を取得しています。
一方の「ヌードルポケット」は、商標登録を発見できませんでした・・・。
さいごに
本記事の内容をまとめたYouTube動画を公開しています。
こちらも併せてご覧ください。
また、商標に関するご相談は、以下のリンクのお問い合せフォームからご連絡ください。