コロナ禍収束後の知財業界~ウェブ空間での知財保護!~
7月1日は「弁理士の日」です!
なぜ、7月1日が弁理士の日であるかというと、明治32(1899)年7月1日、弁理士法の前身である「特許代理業者登録規則」が施行されたことから、日本弁理士会が、その施行日である7月1日を「弁理士の日」に制定しているからです。
そんな弁理士の日に合わせ「独学の弁理士講座」を運営している弁理士の内田浩輔先生から「弁理士の日記念ブログ企画2020」への参加のお誘いがありました。
テーマは「コロナ禍収束後の知財業界」です。
ではいってみましょう!
コロナで注目されたビジネス形態
緊急事態宣言は解除されたものの、依然としてコロナウィルスの社会生活への影響が続く上、感染者再び増加する第二波のおそれもあり、なかなかコロナ以前の状況には戻りません。
また、”政府は新しい生活様式”として、密を回避するような生活を呼び掛けています。
そのような取り組みの是非はともかく、コロナウィルスの影響により、様々な企業活動にマイナスの影響が出たのは確かです。
一方で、このようなコロナ禍の中で新たなサービスも多く生まれています。
例えば、
- オンラインセミナー(ウェビナー)の開催
- お店の味が家庭で味わえるセットの販売
- オンラインキャバクラ
このうち、オンラインキャバクラのような接待業は、新しい取り組みなんじゃないかと思います。
というのも、オンラインセミナーや飲食店のテイクアウトや調理セットなどは、以前から存在しておりましたが、接客・接待を主たるサービス提供の目的としている企業活動のオンライン化は無かったんじゃないかなと思うのです。
キャバクラのような接待を伴う飲食店は、身近で接客してもらって初めて成り立つ商売と考えられていたと思います。
オンラインでは、物理的な接触がなくなり、基本的に画面上で姿を見せて会話をするに留まってしまいます。
そのため、本来の目的からすると (というと語弊があるかもしれませんが) 、サービス利用者は、期待した効果が得られないと思うかもしれないのです。
でも、このようなオンラインでの晩酌のお付き合い的なサービスは、本来のキャバクラとは違うサービスとして今後も残っていってもよいのではないか、と思っています。
飲みながらの雑談、人生相談、その他もろもろ需要はあるように思います。
オンラインキャバクラの商標を保護するには?
キャバクラは、通常、第41類「娯楽施設の提供」や第43類「飲食物の提供」を指定役務として出願します。
一方、オンラインキャバクラの場合は、飲食物を提供しませんので、第43類「飲食物の提供」は不要になるでしょう。
また、第41類「娯楽施設の提供」というのもちょっと違う気がします。
そのような施設(物理的な場所)を提供していないからです。
ここで、従来から第41類の役務には「オンラインによる娯楽の提供」という表示が認められています。
そのため、今のところは、この「オンラインによる娯楽の提供」で保護できると思われます。
ただ、ちょっと心もとないというか、もう少し具体的にサービス内容を記載しないと保護できているのか不安な面もあります。
新しいサービスを明確に保護する制度を提供できるかどうか
こういった状況下で特許庁や弁理士は、迅速に新しいサービスをしっかり保護できるということをPRしていかないといけないと思います。
オンラインキャバクラなら、「オンラインによる娯楽の提供」と同じ範疇で「オンラインによる会話を主とした娯楽の提供」みたいなのが認められれば良いと思います。
また、オンラインキャバクラに限らず、オンライン会議などでは、背景画像や洋服なども設定できそうなので、そのような画像の取引も活発になる気がします。
ただ、現行では、第9類「ダウンロード可能な画像」や第41類「オンラインによる画像の提供」の範疇のものとして取り扱われており、背景画像も洋服画像もその他の映像も同じ類似範囲になってしまい、実体と乖離するように思います。
このようなサービスの捉え方では新しいサービスの柔軟な保護に欠ける可能性があります。
背景画像の分野では、建築関係企業や自然写真の出版社などが参入し、洋服についてはアパレルメーカーが独自のオンライン用の洋服を提供するようになったら、背景画像と洋服画像の分野では、類似範囲は当然異なると思います。
こういう新しい時代の流れの中で柔軟に知財保護を提供できれば、コロナ禍収束後の知財業界も盛り上がっていくのではと思っています。
いかにウェブ空間でのサービスを知財で保護するか
今後の超重要課題だと思っています。
これこそがコロナ禍収束後の知財業界に必要なことなのではないでしょうか。
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