商標権の取得費用のお話
今日は商標権の取得に掛かる費用を紹介します。
自分で手続きをすれば、特許庁に払う特許印紙代だけで済みます。
弁理士事務所に依頼すると当然ながら弁理士費用もかかります。
自分で手続きするコスト(時間・労力)と出願内容の確実性や正確さからすると、弁理士に依頼しても高くはないと思います。
ただ、弁理士によって料金体系はまちまちです。
以下の内容は、私の経験上の費用感のため、もっと安いところ、もっと高いところも存在すると思います。
こんなにたくさんのお金が発生する場面があるという点にご注目。
なお、文末にも触れましたが、”弁理士事務所が商標出願を代理する目的”によって、その料金体系は変わってくると思います。
出願前
調査費用
商標出願の前に、登録可能性を調査するために事前にデータベースを調査することがあります。
弁理士に依頼すれば、経験も踏まえて登録可能性のコメントをもらうことができます。
特許印紙代
- なし
弁理士費用
- 無料〜30,000円
無料で対応する弁理士事務所もあれば、数万円ほどの費用をもらって調査する弁理士事務所もあります。
内容(難易度や区分数)によっても費用は変わってきます。
無料で対応する弁理士事務所は、調査費用が出願費用に含まれていると理解すれば良いでしょう。
調査無料で、調査だけお願いするということはまずできません。
出願で費用をいただくため、調査は無料とうたっているのです。
出願内容の事前検討
出願内容(商標の態様や指定商品・サービス)の事前検討こそが、商標出願の要です。
ここで失敗すると、無駄な商標権を取得することになります。
特許印紙代
- なし
弁理士費用
- 無料〜
弁理士事務所は無料で検討していることが多いと思います。
それは、商標出願を依頼してもらう前提で出願内容の検討を行うためです。
無料とはいえ、しっかりと検討してもらえる弁理士に依頼した方が良いです。
特許庁に出願書類を提出するとき
出願手続き
特許印紙代
- 12,000円(指定商品サービスの区分追加は、プラス8,600円/区分)
弁理士費用
- 10,000円〜
10,000円〜と書きましたが、30,000円のところもあれば、50,000円のところもあります。
もっと高いところもあります。
また、指定商品サービスの区分数の増加に伴って、弁理士費用も増加する料金体系が多いです。
ただ、3区分までは同一料金など、柔軟な対応をしている弁理士事務所もあります。
審査官からの通知に対する応答手続きの費用
商標出願すると、特許庁の審査官が、出願内容を審査します。
登録できない法定事由に該当すると、拒絶理由通知を通知してきます。
この応答費用です。
意見書の提出
意見書とは、審査官の判断に対する反論や意見を記載した書面です。
過去の判断例や市場での認識などを論理的に説明します。
特許印紙代
- なし
弁理士費用
- 10,000円〜100,000円くらい
一概にいくらというのはなく、内容によって変動することが多いと思います。
定額で対応してくれる事務所もあります。
手続補正書の提出
手続補正書とは、出願の内容(主に、指定商品サービス)を修正する書面です。
特許印紙代
- なし
弁理士費用
- 10,000円〜80,000円くらい
こちらも内容によって変動します。
この意見書と手続補正書の対応が弁理士の腕の見せ所と言ってもいいかもしれません。
登録時の費用
特許庁から「登録査定」を受け取ると、登録料を納付すれば商標権が発生する状態になります。
所定の期限内に登録料を納付するのですが、このタイミングが、商標権を取得するための最後の費用項目です。
登録料の納付
特許印紙代
- 28,200円×区分数(10年一括納付)
- 16,400円×区分数 (5年分割納付)
弁理士費用
- 10,000円~
- 成功報酬として出願時の弁理士費用と同程度が掛かることもある
更新時の費用
商標権は10年毎(分割納付の場合は5年毎)に権利を更新することで、半永久的に権利を維持できます。
更新登録申請
特許印紙代
- 38,800円×区分数(10年一括納付)
- 22,600円×区分数 (5年分割納付)
弁理士費用
- 10,000円~40,000円くらい
さいごに
いかがでしょうか。
いろんな場面でお金がかかることがお分かりいただけたと思います。
弁理士事務所によっては商標権の取得までを一括支払いにしたり、登録できなかった場合には返金することを約束しているところもあります。
基本的に料金体系は自由なので、弁理士事務所によって差が出てくるのです。
ただ、弁理士事務所による料金体系の設定は、「弁理士事務所が商標出願を代理する目的」に関わってくることです。
商標権を取得することが目的であれば、商標出願以降の費用が相対的に大きくなります。
一方、ブランド保護が目的であれば、ブランド保護の方策を検討する部分にフォーカスした料金体系になり、出願前の部分での費用が大きくなります。
料金体系の違いから弁理士事務所の在り方も分かるかもしれません。
最終的には自社との相性もありますが、費用の条件もしっかりとヒアリングして、弁理士事務所を選定していけば良いと思います。